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見える化 とは
見える化は,目で見る管理ともいわれ、目には見えにくいものを
具体的に見えるような形に変えて管理していく、製造業などでよく使われる言葉です。
具体的な定義は、以下の通りです。
見える化(みえるか)とは、企業や組織における財務、業務、戦略などの活動実態を具体化し、
Wikipediaより
客観的に捉えられるようにすることである。
企業活動の分野以外でも、「見える化」という表現が用いられることがある。
これを日常生活に当てはめると、日々の状況や問題点などを、普段から見えるようにしておくことで、
生活を送っていく上で生じる様々な問題に対して気づきやすい状態にすることができます。
その結果として、日常生活のさまざま場面で適切な判断を下すことができるようにるのです。
具体的には次のような使い方があります。
- 日々の体重変化を目で見えるようにして、ダイエットの成果を確認する。
- 日用品の在庫を目で見えるようにして、買い過ぎや買い忘れを防ぐ。
- 家計でのお金の流れをを目で見えるようにして、ムダ使いを防ぎ、適切にお金が
見える化によって、わざわざ時間をかけて確認しなくても大切な情報をすぐに把握する
ことがでるようになり、より大きな成果をあげることができるようになるのです。
これは、日常生活を改善し、QOLを向上させていく上で非常に大切な考え方です。
これから、細かく解説していきます。
見える化のメリット
見える化のメリットについて説明していきます。
見える化が目指すことは、 見ようとしなくても見えるような仕組みを作ることです。
具体的なメリットには、次のようなものがあります。
- 自分の目標を見える化することで達成度を確認することができる
- 問題を見える化することで不測の自体が発生してもスムーズな対応ができる
- 無駄なものや不要なものを見える化することで本当に必要なものを見極めることができる
わざわざ見えるようにしなくても必要なときに確認すればいいんじゃないという意見もあると思います。
しかしそれでは、現在の状態をしっかりと把握することができなくなり、本当にやるべきことに時間を使ったり、
現在やっていることの軌道修正をしたりすることが難しくなってしまいます。
メリットをしっかりと認識していないと、続けてやっていこうというモチベーションが低くなってしまいます。
まずは、何で見える化を行う必要があるのか、見える化を行うとどういったことがよくなるのかをしっかりと認識しましょう。
見える化の進め方
見える化の進め方について説明します
実際に見える化を行っていくには、決められた順番で行っていくことがとても大切になります。
具体的には、次のような順で進めていきます。
- 目標・目的を決める
- 目標・目的の達成に必要な行動を決める
- 行動が正しいのかを確認するために見るべきものを決める
- 見るべきものを常に見えるようにする
- 見えた情報をもとにして行動を修正する
実際にどのような手順で進めていけばいいのか一つずつ詳しく見ていきましょう。
また、ダイエットをして自分の体重を標準体重まで減らし、それをキープするという事例で具体的に説明していきます。
目標・目的を決める
1つ目のステップは、見える化を行う目標・目的を決めるということです。
見える化をすることによって、日々の自分の生活をどのようにしていきたいのか、自分が目指す姿をしっかりと考える必要があります。
見える化は、目標を達成したり、目的を果たすための手段であって、見える化すること自体が目標や目的になってはいけません。
目標・目的には、次のようなものがあります。
- 家事をやりやすくして、日々の負担やストレスを減らしたい
- 問題や異常にすぐ気づいて、事態が大きくなる前に対処したい
- 家族の予定を把握して、互いに助け合いながら時間を有効活用したい
具体的にダイエットの事例で説明すると、目標・目的はつぎのようになります。
- 目標:体重を標準体重まで減らす
- 目的:体重を適切にすることで健康を維持する
見える化を実施するなら、まずは「どのようになりたいのか?」、「どのようにしたいのか?」いう目標・目的をしっかりと決めましょう。
目標・目的の達成に必要な行動を決める
2つ目のステップは、目標・目的の達成に必要な行動を決めるということです。
1つ目のステップで決めた目標・目的に対してそれを達成するためにはどのようなことをすればいいのかを考えていきます。
回りを見渡してみて目標・目的を達成できている人は、どのような人がいるでしょうか。
自分のなりたい姿に向けて日々努力をしたり、生活を快適にするためにいろいろな工夫をしたりしているのではないでしょうか。
目標・目的を達成している人としていない人では、意識や価値観が大きく違うはずです。
目標・目的を達成するということは、今やっていないことやできないことをやる、つまり今とは違う行動をする必要があるということです。
具体的にダイエットの事例で説明すると、目標・目的の達成に必要な行動はつぎのようになります。
- 適切な食事を行う
- 適切な運動を行う
- 安定したリズムで生活を行う
上記のように第1ステップで決めた「自分の適正な体重まで減らし、それを無理のない状態でキープする」という目標・目的を達成するために必要な事を明確してきます
目標・目的を実現するために、今はできていないことをできるようになるイメージをしっかりと持って、達成するために必要な行動を明確にする必要があります。
行動が正しいのかを確認するために見るべきものを決める
3つ目のステップは、行動が正しいのかを確認するために見るべきものを決めるということです。
2つ目のステップまでで決めた目標・目的とそれを達成するために必要な行動に対して、
それの達成度、進捗、適切性などを確認するために
確認しなければならないものを決めていきます。
今までと違う行動をした場合には、今までとは違う結果が出てくるはずです。しかし、必ずしも良い結果ができるとは限りません。
実施した行動と実施した結果の関係は、つぎのようになります。
- 目標・目的を達成するために正しい行動(適切な行動)をする → 良い結果がでる
- 目標・目的を達成するために間違った行動(不適切な行動)をする → 悪い結果がでる
目標や目的を達成するために間違った行動をしていても、良い結果がでることはありません。
実施した行動に対してすぐ結果がでるとは限らないので、間違った行動を長時間行い、一切結果はでなかったというのでは目も当てられなくなってしまいます。
そこで、結果が出る前に、良い結果に向かって正しい行動できているのかを確認し、間違っていれば修正する必要があります。
正しい行動ができていか確認するためには、何を見れば良いのかを考えて見るべきものを決めましょう。
具体的にダイエットの事例で説明すると行動が正しいのかを確認するために見るべきものはつぎのようになります。
- 食事の記録(摂取したカロリーの数値、1日の食事の記録など
- 運動の記録(消費したカロリーの数値、1日の運動時間など)
- 身体の記録(体重の数値、体脂肪率の数値など)
上記のように第2ステップでまでで決めたやるべき行動に対して「正しく行えているのか」、「やるべきことは間違っていないか」を確認するために必要な事を明確にしていきます。
最初から見るべきものを正しく選択することはなかなか難しいと思います。実施した行動と見えた情報を照らし合わせて、得られた情報で本当に行動の良し悪しが判断できるかを継続して確認していく必要があります。
見るべきものを常に見えるようにする
4つ目のステップは、見るべきものを常に見えるようにするということです。
3つ目のステップまでで何を見なければいけないか決めることができたら、実際に見るための仕組みをつくっていきます。
しかし、見るべきものを簡単に見ることができるとは限らず、次のような問題点があります。
- 見るべきものの情報を集めるのに手間と時間がかかる
- 見えたときには結果が出た後で、不要な情報になっている
上記のような場合には、つぎのようなサイクルに入ってしまい、見える化がうまくいくことはありません。
- 見えるようにするのに手間と時間がかかる
- 必要な情報を集めることができない
- 行動と結果の関係がわからない
- 正しい行動をすることができずに成果につなげることができない
見るべきものを時間やお金ををかけず、すぐにその場で見えるようにすることは簡単ではなく、すぐにはできません。よく考えてやり方を工夫していく必要あります。
では、どのような工夫をすればいいのでしょうか。
具体的にダイエットの事例で説明すると見るべきものを常に見えるようにするための工夫はつぎのようなものがあります
- 食べるものを固定する。事前にカロリーを把握しておく
- 運動などを習慣化する。
- 体重の測定するタイミングを固定する。
ここで大切なポイントは、情報の収集にかかる時間そして収集した情報を把握する時間の2つを極力なくすということです。
見たいものをなるべく労力を少なく見えるようにするために継続して工夫したりを重ねていきましょう。
見えた情報をもとにして行動を修正する
5つ目のステップは、見えた情報をもとにして行動を修正するということです。
見える化は行動を修正すること(変えさせること)に意味があって、見えただけでは意味はありません。
見えた情報ををもとにして次のように行動を修正していきます。
良い結果がでている場合 : 現状の行動を習慣化して継続する
悪い結果がでている場合 : 現状の行動を変更して別の行動を試す
上記ををそれぞれ説明します。
良い結果がでている場合には、現在取り組んでいる事や新しく始めた事の方向性はあっているという事を示しています。行動については継続して行っていき、見るべき項目については、より手間なく短時間で情報を収集できるように改善を進めていきましょう。
逆に悪い結果がでている場合には、現在のやり方ではよくないという事を示していますので、目標を達成するための行動(進め方)をもう一度見直す必要があります。
見えた情報をもとにして行動が良いか悪いかを見極めて修正するという作業をが見える化の一番大切なポイントになります。これを継続的に繰り返し行っていくことで最初に設定した目標・目的を達成することができるのです。
このように目的・目標から問題点を抜き出し、その問題の解決のために見なければいけないものを特定してから見える化の仕組みをつくることで、効果的な見える化が実践できるようになります。見える化は、最初に目的を決めてから実践するのが非常に重要なのだということを頭に入れておきましょう。
見える化の具体例
見える化の具体例について説明します。
ここでは、人・物・金の3つの視点で具体例を挙げていきます。
人・物・金 の3つをそれぞれ日常生活に当てはめると、次のようなものがあります。
- 人 : スケジュール、時間の使い方、目標達成度
- 金 : お金の流れ( 収入&支出 )、 お金の使い方(支出の内訳)
- 物 : 日用品の在庫、家具・家電・自動車など所有品の状態
上記のようなものが日常生活で見える化する対象になります。
では、具体的に人の見える化について2点ほど見ていきましょう。
スケジュールを見える化
目標・目的
家族それぞれの予定を把握して子供の送り迎え、日用品の買い物、夕食の準備などをスムーズに分担したい。
目標・目的を達成するための行動
誰がいつ何をしていて今後はどういう予定が入っているのかを把握した状態にする。
見るべきもの
- それぞれのスケジュール
- 日々の行動サイクル
- 突発的な予定
見るための工夫
- 突発的な予定が入った場合の連絡方法を決める
- 通常の場合の行動時間を把握しておく
- 予定を共有するための方法を検討する
行動の修正
- 突発的な予定が入った場合の連絡方法を決める
- 通常の場合の行動時間を把握しておく
- 予定を共有するための方法を検討する
お金の流れを見える化
目標・目的
将来必要となるお金を把握して、計画的に貯金していきたい。
目標・目的を達成するための行動
収入と収支をしっかりと把握して、計画的にお金が貯められる状態にする。
見るべきもの
- 支出の内訳
- 支出のバランス
- 貯蓄の達成度合
見るための工夫
- アプリとクレジットカードの連動による自動家計簿
- キャッシュレス決済を使用する
- 貯蓄の達成度合
行動の修正
- 無駄な支出を防止する
- 不要な固定費などの見直しを行う
見える化がうまくいかない理由
見える化のコツについて説明していきます。
苦労して見える化を実施しても、すぐに効果に結びつくことのほうが残念ながら稀です。
うまくいかない見える化には、次のようなものがあります。
- 見る事が目的になっている見える化
- 悪い情報をみようとしない見える化
- 見る人の目線に立っていない見える化
見える化を適切に活用するためには、上記のような見えるかがうまくいかないパターンをしっかりと理解してそうならないようにする必要があります。
それぞれについて細かく説明していきます。
見る事が目的になっている見える化
1つ目の失敗する見える化は、見る事が目的になっている見える化です。
見える化というのはあくまで正しい行動ができているか確認するための手段であり、一つのステップに過ぎません。
本当に大切なことは、「こうなりたい」、「こうしたい」という目標・目的に対して行動し、その行動を見える化によって修正するというサイクルを繰り返し実施していくことです。こうしたサイクルを回すことなく、ただ見える化だけを実施しても、ほとんど意味はありません
具体的に見る事が目的になっている見える化には、次のようなものがあります。
- 壁に予定などを張り出しているが、進捗などは管理していない
- それぞれの予定をカレンダーアプリで共有しているが、特に活用していない
- 家計簿をつけているだけで、お金の使い方について特に検討していない
上記は、それぞれ見えるようにしていだけで、特にそれを使用していない例になります。
大切なポイントは、見える化によって得られた情報から自分の行動の修正しなければならない部分に気づく能力を鍛えるということです。そして、見える化をするだけで満足してしまうのではなく、そ実際の行動に結びつけて最終的に良い結果を出すということがとても大切です。
悪い情報をみようとしない見える化
2つ目の失敗する見える化は、悪い情報をみようとしない見える化です。
見える化を実施することで、日常生活のさまざまな問題を露見させ、先手先手で手を打ち、対策を講じることができれば、経営にとって最大のリスクマネジメントとなる。問題や弱点とは、肯定的に捉えれば、企業の体質を変える貴重な財産でもある。
しかし、現実には自発的に自分にとって都合の悪い情報や兆候をからは、誰でも目を背けたいものであり、見える化を進める事は簡単ではありません。しかし、当たり障りのない情報ばかりが見える化されて、大切な情報が埋もれたままでは、真の意味での見える化とは呼ぶことはできません
大切なポイントは、悪い情報ををしっかりと見える化することによって、対策が迅速に実施され、結果としてよりよい結果につながるという事をしっかりと理解して、悪い情報ほど積極的に見える化して対策を行うことです。
見る人の目線に立っていない見える化
三つ目の失敗する見える化は、見る人の目線に立っていない見える化です。
どんなに価値ある情報を大量に含んでいても、一緒にやっている人が気付て行動に移せなければ何の意味もありません。
なんでもかんでも見えるようにするのではなく、本当に必要な情報だけに絞り込み、見る側に気付きを生むようにするが本当に効果的な見える化です。
具体的に見る人の目線に立っていない見える化には、次のようなものがあります。
- 作った人以外は情報の見方がわからない
- 情報が混ざっていてどれが大切な情報かわからない
- 見た後にどのように行動していいかわからない
大切なポイントは、見えるようにすることよりも、見えたものから行動が開始できるようになっているかという点に力をおくことです。見えるようになるとそれでなんか良くなった気がして、そこから先は、見た者が判断して行動すればいいと思ってしまうことが多いのですが、それでは見た人の考え方や解釈によって実施する行動が異なってしまいます。
大切なポイントは、見ただけで誰でもすぐに内容を理解し、適切な行動ををおこせるように見える化を進めることです。
見える化についてのまとめ
見える化について、その具体的な内容を説明した後、日常生活の改善事例を紹介しました。
見える化を上手に活用することによって、飛躍的に日常生活を改善することが期待できます。
見える化を学んで日常生活の中に取り入れ、生活をさらに豊かにしていきましょう。