QOLを向上させるためにここでは、QOLを向上させていく上で大切なECRS(イクルス)について学んでいきます。
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この章のポイント
8 運用
8.1 運用の計画及び管理
ISO9001を行う事で
◆決めた品質の製品やサービスを顧客に提供します
◆リスクに備え、機会を生かします
◆品質目標を達成します
そのために会社は、次のことを行って下さい。
◆必要なルールや計画を決めて下さい
◆決めたルールに従って仕事をして下さい
◆ルールが守られ、仕事が計画通りに進むように管理をして下さい
(このような活動は4.4で説明しているプロセスアプローチの考え方に沿って行います)。
ルールを決める
具体的には、次のことを行って下さい。
a)製品の仕様やサービスの内容を決めて下さい。
b)仕事を管理するための、判断基準を決めて下さい。
1)個々の作業を管理するための判断基準
2)製品の合否判定の基準
c)決めた品質の製品を顧客に提供するために必要な、建物、設備、従業員などを決めて下さい。
d)b)で決めた基準に従って,仕事を管理して下さい。
e)必要な文書・記録を用意して下さい
ここで必要な文書は、次のものです
1)会社が、ルールで決めた通りに仕事が行われたことを(自ら)確かめるために、必要と考える文書や記録。
2)顧客、審査機関などに対して)製品の品質を証明するために必要と考える文書や記録。
文書は必要に応じて改訂して下さい。
また、必要な記録を作成し、保管して下さい。
◆ルールや計画の形について、決まりはありません。会社の仕事に合ったもの
(作りやすい、管理がしやすい、使いやすいもの)にして下さい。
ルールの変更
◆会社は、ルールや計画を変える時は、そのことで問題が発生しないように、
(十分に事前に確かめて)管理しながら進めて下さい。
◆また、様々な状況の変化のために、ルールや計画を変えざるを得なくなった時は、
その変化や変更の内容を確かめて、その影響が小さくなるように対策をして下さい。
仕事の外注
◆外注(外部委託、アウトソース)した仕事も、品質マネジメントシステムに含まれます。
会社は、外注した部分も、適切な結果を出せるように管理をして下さい
(具体的な外注の管理の方法は、8,4に定めます)。
8.2 製品及びサービスに関する要求事項
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
当社は、以下の項目について、顧客と連絡を取る方法(窓口となる担当部門、情報伝達の手段など)を決める。
a)自社の製品の紹介、宣伝など
b)取引・販売に関するやり取り
●製品の購入についての問合せ.
●製品の中身やその納品に関する約束。(契約書があるものに限りません)
●注文(数量、納期、届け先に関する連絡)
c)販売の後に、顧客からの意見や評価を受付ける、あるいは調査する。これには、苦情の受付も含みます
d)顧客からの支給品や預かり物に関する約束(当てはまるものがある場合)。
その支給の依頼、受渡し、日常的な管理の方法
e)非常事態の対応に関する約束
●非常時(出荷停止、回収など)の連絡
●非常事態に備えた準備(在庫の確保、代品の用意、複数場所での製造など)に関する約束
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
当社は、製品の仕様やサービスの内容を決める。この際、次のことを確かめる。
(これは、特定の顧客か決まっていない、カタログ製品、自社の企画製品の場合に、重要な項目です)
a)必要な条件を満たしていること
1)関係する法律に合っている
2)会社があらかじめ必要と決めたルールや条件に合っている
b)会社が公表する内容(カタログ、ホームページなど)に、偽りがないこと
8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1 受注・契約の内容の確認
当社は、製品について顧客と約束をする時は、顧客に返答する前に/書類を提出する前に
その約束の内容を点検して下さい。
この点検では、以下のa)~e)について、必要な項目が(何らかの形で)決められていることを確かめて下さい。
ここで言う約束には、見積書や企画書の提出、契約、仕様書や図面の合意、個々の受注などがあります
また、この際、これらの約束(決めた内容)が実施可能な内容であることを確かめて下さい
(約束の内容が、実施できるかどうか分からない場合には、実施可能であることを確かめて
から返答する仕組みを作って下さい)。
実施可能かどうかについては、技術レベル、サービスの内容、納期、実施時期、価格の面から判断します。
明確になっていなければいけない内容は、以下の通りです
a)製品の仕様や取扱い方法が、約束されている。
引渡し(出荷、納品)に関する約束や、アフターサービス(8.5.5)についての約束にも、注意して下さい。
b)製品の仕様や取扱い方法について、その製品の用途や目的から判断して必要なもの(顧客との約束に含まれないもの)。
①カタログ販売などで、顧客との間で、いちいち詳細な製品の仕様を確かめずに取引をする場合で、会社内部で決めている仕様や内容。
②顧客との約束事項には明記していないが(わざわざ約束までしないが)、用途や目的から判断して、会社が当然必要な品質として決めているもの。
c)a)b)以外で、自社で定めたルール.
d)製品の仕様や取扱いに関する、法律上の制約
e)顧客と約束(契約、受注)で、以前の約束との変更点
●継続的に取引しているケースで、製品の仕様が変わる場合。
●見積書などで約束していた内容を、正式受注に当たって変更するケースなど
上のe)に該当する変更点がある場合は、顧客に返答する前に/契約を締結する前に、変更に
ついて顧客と合意するようにする。顧客からの口頭の注文についても、(記録に控えて)上のルールに従って、内容の確認を行う。
8.2.3.2 受注契約の記録
当社は,以下の項目について、必ず記録を残す。
a)製品の仕様やサービスの内容について、確認したことを示す記録(顧客と約束した内容、
決定した製品の仕様やサービスの内容、確認・承認・決定した内容など)。
b)製品の仕様やサービスの内容について、変更になった項目がある場合は、その内容。
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
製品の仕様やサービスの内容を変更した場合には(顧客との約束が変更になった場合、自社で変更した場合)、当社は、その内容や基準を引用した社内文書も、間違いなく変更する。
変更の内容を、必要な関係者に確実に伝える。そして、どのような対応をしなければならないかを、理解させる
8.3 製品及びサービスの設計・開発
8.3.1 一般
当社は、新製品に問題が起こらないように、設計・開発を管理するためのルールを作る。
そのルールの通りに実施して下さい。状況の変化に合わせて、ルールを改める
8.3.2 設計・開発の計画
設計・開発を計画的に行う。設計・開発の進め方(計画)を決める時は、次の点を考えに入れる。
a)計画する設計・開発の性質
①製品の種類、用途、求められる品質のレベルなど
②設計・開発の種類(新規、改良、変更など)
設計・開発に要する期間
設計・開発の複雑さ
③製品の複雑さ
④設計・開発の作業の複雑さ
設計・開発を始める時には、次の中で必要なものを計画して下さい。
b)設計・開発のステップに組込まなければならない活動実施しなければならない、設計・開発のレビュー(どのタイミングで、誰から、何についての評価をもらうか)
c)実施しなければならない、設計・開発の検証(どのタイミングで、誰が、何をするのか)
実施しなければならない、設計・開発の妥当性確認(どのタイミングで、どんな試験や検討をするのか)
d)設計・開発の各ステップの責任者や承認の権限を持つ人。
e)必要な従業員、設備、サポート体制など。
●内部のもの(実施者、社内の協力者、作業場所、設備、ソフトウェアなど)
●外部のもの(社外の協力者、作業の外注、外部機関・外部施設の利用など)
f)設計・開発に関わる関係者の間での、情報交換の方法、あるいは情報を共有する方法
(打合せ、定期報告、データベースなど)を決める。
g)設計・開発に、顧客あるいは製品の使用者に参加してもらう必要があるか(共同開発、レビューへの参加、妥当性確認への協力など)。
h)開発した製品を製造する際に、また顧客に出す際に、特に考慮しなければならないこと
i)設計・開発の管理の手法、検証や試験のためのツールなどで、顧客から実施を求められているもの、あるいは法律で決まっているもの。
j)設計・開発に関わる記録として何を残すか。
8.3.3 設計・開発へのインプット
設計・開発をする製品について、考慮しなければいけない項目をリストアップする。
リストアップする時は、次の項目で、該当するものを含める。
a)設計・開発する製品に求められている機能や品質
必要な機能、満たすべき基準、必要な試験など
b)以前に設計・開発をした製品に関わるデータで、参考になるもの
踏襲すべき性能、構造、基準など。利用できる仕組みや部品。不良に対して行った対策など
c)法律上で守らなければいけないこと
製造の許認可の必要性、法律で決まっている品質基準、表示の内容など
d)会社が決めた、設計・開発の管理のルール。
社内のルール、品質管理やリスクマネジメントの規格や手法(ツール)の利用など
e)設計・開発をしている製品について、予想される不良やトラブル
設計・開発に組み込まなければいけない項目が、抜け落ちないようにして下さい。
曖昧な決め方を避けて、考慮すべきことを明確に書いて下さい。
リストアップした項目同士で、矛盾がないようにして下さい。
このリストアップした結果を記録して下さい。この記録は保管して下さい。
8.3.4 設計・開発の管理
当社は、設計・開発が、正しく行われるように管理をする。
a)設計・開発の結果として用意するものを決める
設計・開発・企画の結果(8.3.5)として、どのような製品を作り、そのため
にどのような資料を揃えるかを決めて下さい。
b)設計・開発のレビュー
設計・開発で行っている内容が適切かどうかを、関係する部門の人に、評価してもらって下さい。
場合によっては専門家、顧客、使用者などに参加してもらうこともあります。
c)設計・開発の検証
できあがった製品(8.3.4)が、8.3.3でリストアップした項目(必須の項目)をクリアしていることを確かめて下さい。
試験、検査、計算、点検などの方法があります。
d)設計・開発の妥当性確認
できあがった製品(8.3.4)が、本当に現場で使えるか(実施が可能か)を、確かめて下さい。
実機による現場での試験、現場でのリハーサル、あるいは(現場での実施が不可能な場合には)
これらを想定した試験やリハーサルなどを行って下さい。
e)判明した問題の解決
レビュー、検証、妥当性確認の中で判明した問題や課題があったら、一つ一つ検討して決着をつけて下さい。
f)記録
レビュー、検証、妥当性確認の結果は、記録して下さい。この記録を保管して下さい。
8.3.5 設計・開発からのアウトプット
当社は、設計・開発を完了する時は、設計・開発の結果が次の条件を持たしていることを確かめる。
a)設計・開発でできあがった製品が、8.3.3でリストアップした項目をクリアしている(そのことが分かるようになっている)。設計の結果には、図面、配合表、レシピ、サービスのマニュアル、実施要領、試作品、実際の製品(最初の製造品)などがある。
設計・開発の結果には、次の文書や資料を含める。
b)実際に、製造・販売したり、サービスを行うための使う文書や資料。
作業基準書、マニュアル、QC工程表、使用説明書
c)検査の合否判定基準や、品質をチェックするための基準を決めたもの
(これは、それぞれの製品に必要なレベルを考えて決めて下さい)。
製品規格、検査基準、チェックリストなど
d)製品を、正しく安全に使うために必要な情報を記したもの。
使用上の注意、メンテナンスの方法など
当社は、これらの設計・開発の結果を示す文書や資料を、記録として保管する。
8.3.6 設計・開発の変更
当社は、設計・開発した製品の仕様を変更する時は、そのことで問題が発生しないように、管理する。
設計・開発の途中に変更する場合と、一旦、設計・開発が完了した製品を変更する場合があります。
どのようなケースを、設計・開発・企画の変更と位置付けるかは、会社が決めて下さい。
①何をどこまで変更するのかを決めて、計画的に行う。
②設計・開発のレビューを行う。
③進み具合を管理し、必要に応じて、検証/妥当性確認を行う。
当社は、以下の項目について、記録を残す。
a)変更の内容
b)レビューの結果
c)変更の承認の記録(責任者、承認内容、承認日)
d)予想される問題と、それを防止するために行った処置
8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
8.4.1 一般
当社は、求めている品質の購買品が得られるように、また外注(アウトソース)の結果が得られるように、(以下のように)仕組みを作って管理する。これには、無償で提供を受ける場合も含む。
購買・外注の種類
ここで、購買・外注(アウトソース)と言うのは、次のような場合です。
a)外部から入手した物を、自社の製品の原料、材料、部品などとして使う場合。
(主に購買。無償の提供も含む)
b)製品を、外注先から直接顧客に届ける場合。(OEM製品など)
サービス業で(自社の立会なしに)外注業者が、直接顧客にサービスを行う場合。
(製造業でも、設置工事、修理、製品の定期点検などでこのケースがある)
c)自社の仕事の一部を、外注に実施させる場合。
(製造工程、設計、検査、設備管理、輸送など)
購買先・外注先の管理
会社は、購買先や外注先について、以下の管理を行って下さい。そのための判断基準を決めて下さい。
◆品質管理や供給能力などの、購買先や外注先の実力を評価する。
◆購買先や外注先として使用するかを決める。
◆購買品、外注品、外注(アウトソース)したサービスの品質を評価する。
(受入検査の結果、納期順守率など)
◆必要に応じて、定期的に評価を行う。あるいは、問題の発生時に再評価を行う。
会社は、以上の評価の結果や決定を記録して下さい。その記録を保管して下さい
8.4.2 管理の方式及び程度
当社は、購買・外注(アウトソース)の管理を行う。
購買品や外注が原因で、最終的な製品やサービスに悪影響が出ないように、ルールを決めて管理する。
a)購買や外注は、必ず、自社の品質マネジメントシステムの一部として管理する。
(管理されている状態を保ってください)。
b)購買先・外注先(業者)に対する管理方法を決めて下さい。
購買・外注先の管理には、仕事の指示、技術指導、仕事の方法の承認、記録を
提出させる、定期的な打合せ、監査や評価の実施、改善の要求、これら含む契約などがあります
購買品や外注の結果(製品)に対する管理方法を決めて下さい。
購買・外注先に行わせる検査や品質チェックについて決めるなど
(受入検査についてはd)項で定める)
製品の取扱や保管について、購買・外注先と約束する
c)b)の管理方法(管理レベル)を決める時は、以下の点を考慮して下さい。
1)購買品や外注(アウトソース)が、最終的な製品やサービスの品質に与える影響の大きさ
2)購買先・外注先の、品質管理の実力
d)購買品の受入検査の方法、あるいは外注の結果を確かめる方法を決めて下さい。
8.4.3 外部提供者に対する情報
当社は、以下の内容(該当するものを)を購買先(または外注先)に伝え、必要な場合には取り決め(納入仕様書、契約など)を行う。伝える前に、内容が正しいことを確かめる。
a)購買する製品・外注(アウトソース)する製品やサービスの内容を決めて下さい。
(製品名、品番、製品仕様など。サービスのメニュー、内容など)
b)必要な場合には、次の事項について、承認をして下さい
1)製品仕様(図面、納入仕様書など)、サービスの内容(仕様書、計画書など)
2)製造方法,サービスの実施方法
製造やサービスに用いる設備(使用設備を限定する場合)
3)製品の出荷許可の条件
引渡しの方法(納品の方法、サービスの報告の方法など)
c)作業者の訓練、資格、実施者の登録などの取り決め。
d)自社と購買先・外注先との、仕事の連携方法(仕事の分担や、情報のやり取りの方法など)
e)購買先、外注先に対して行う管理
(提出を求める記録、打合せや監査の実施など、購買先・外注先にと合意が必要な項目など)
購買品やサービスの品質の評価として行う内容。
f)会社が(またはその顧客が)、購買先・外注先で実施する検査や製品の評価
(大型設備の立会検査など)
8.5 製造及びサービス提供
8.5.1 製造及びサービス提供の管理
当社は、製造工程が正しく行われるように、管理をする。
特に、以下であてはまるものについては、ルールを決めて管理をする。
文書の使用
a)仕事を行う人が、以下のような文書を見られるようにしておく。
(作業手順、技術資料など)
1)製造する製品、実施するサービス、それに伴う様々な仕事について、知っておくべき情報を書いたもの。
2)それぞれの仕事について、何がどうならなければいけないのか
(うまく行ったかどうかを、何で判断するのか)について決めたもの。
工程の管理
b)必要な計測器、検査機器を用意し、使えるようにしておく。
c)仕事の進み具合や、製品の品質を確かめる方法を決めて実施する
(チェック、確認、検査など)、
d)仕事に必要な建物、設備、道具(コンピュータネットワーク、通信手段なども含む)を用意して、適切に使う。
e)必要な知識や技能を持った人に仕事をさせて下さい。必要な場合には、仕事の(特定の業務の)資格認定を行って下さい。
検査で確認できない工程の管理
f)仕事の結果の良し悪しについて、検査や品質チェックができない仕事については、
あらかじめ、その製造方法で目的の品質が得られることを証明しておいて下さい。
また、その決めた通りの方法で製造が行われていることを証明して下さい。
定期的に、その方法に問題がないことをチェックして下さい。
●試作で、製造条件が適切であることを確めて下さい。
●試作と同じ条件で製造されていることを毎回の工程の監視で確かめて下さい。
●必要に応じて、使用する設備や計測機器の事前確認や日常管理を徹底して、
想定通りに製造が行われていることを確かめて下さい。
●実施者の訓練を確実に行い、必要な場合には資格認定を行って下さい。
●定期的なチェックには、製品の検査(期限を決めて時々行うもの)、
統計的なデータの確認、設備の定期点検、実施者の技量の再チェックなどがあります
ヒューマンエラーの対策
g)ヒューマンエラーを防止するための、対策を行って下さい。
引渡し・アフターサービス
h)次の工程への引渡し、顧客への納品を、管理して下さい(8.6項)。
アフターサービスを管理して下さい(8.5.5項)。
8.5.2 識別及びトレーサビリティ
製品の区別
会社は、製品を取違えることがないように、現場で区別がつけられるようにして下さい。
(表示、色づけ、容器の色や形状、置き場所による区別など)
合格品・未検査品・不合格品の区別
会社は、現場で、検査合格品と未検査品や不合格品との区別がつけられるようにして下さい。
トレーサビリティ(ロット追跡)
トレーサビリティ(ロット追跡)が必要な場合、会社は追跡のための適当な目印を決めて下さい。
(ロット番号、受注番号などの番号、製造日など)
トレーサビリティ(ロット追跡)を可能にするために、必要な情報(目印)を記録に残して下さい。
その記録を保管して下さい。
トレーサビリティでは、製造日、サービスの実施日、使用した部品や資材、その他のデータが分かるように記録を残します。
8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
当社は、顧客や購買・外注先から預かった(支給や貸出しを受けた)物品がある場合、
自社で預かっている間に、それを壊したり無くしたりすることがないように、注意をして管理をする。
また、機密情報(技術情報、個人情報など)を預かっている場合や、自社で集めた顧客の個人情報を保存している場合は、情報を、消失したり外部に漏らしたりしないように、注意をして管理する。
当社は、預かっている物について、次の管理を行う。
◆その物品を、使用者が取違えることがないように、適当な表示や目印を行う。
◆受入れた時や使用する時に行う、検査や確認の方法を決めて、実施する。
◆預かった物品を、壊したり無くしたりすることがないように、適切に保管し、また取扱う。
◆預かった情報を、消失したり外部に漏らしたりしないように、セキュリティ対策を行う。
当社は、預かった物品や情報について問題が発生した場合には、そのことを預けた顧客や業者に連絡する。(壊したり無くした場合、使えないと分かった場合、情報を消失したり外部に漏らした場合が該当する)。
当社は、発生した問題について記録して下さい。その記録を保管して下さい。
8.5.4 保存
当社は、製品が劣化したり破損して不適合品にならないように、あるいは仕事の結果が無効にならないように、必要な保存(在庫あるいは一時保管)の方法を決めて、実施する。
これには、以下のような場合が該当する。
◆最終製品、中間製品、資材、原料、部品、サービスに使う物品の保存
◆ソフトウェアや、情報(電子情報、文書)の保存(これらが、製品に当たる場合)
8.5.5 引渡し後の活動
当社は、(製品の販売にともなって)アフターサービスが必要な場合には、以下の管理を行う。
そのアフターサービスについて、基準を定め、これを満たすように管理をして下さい。
会社は、アフターサービスの基準や管理レベルを決める時は、以下の点を考慮して下さい。
a)法律で義務づけられたアフターサービス(たとえば、家電リサイクル法)
b)販売後に予想される、故障、異常、事故など
これは、修理やメンテナンスサービスの実施、保証期間などについて決めるための情報になります。
c)製品及びサービスの性質,用途。製品の寿命(会社が想定したもの)
d)アフターサービスに関する顧客との約束
e)顧客からの情報 (使用上の問題点、故障の情報など)
8.5.6 変更の管理
当社は、製造条件やサービスの実施条件を変更する場合には、変更が原因で不合格品(不適切なサービス)が発生しないように管理する。
◆変更の過程を管理して下さい。
◆あらかじめ変更の影響を調査して下さい
◆調査の結果を受けて、必要な確認や対策を行って下さい。
どこまで、詳しく調査や管理をするかは、不合格品(不適切なサービス)の発生を防止するために、必要な程度に応じて決めて下さい。
ここで言う変更には、製造方法やサービス実施方法の変更、建物や設備の変更、作業者の変更、
材料・原料・部品の変更、購買・外注先の変更などが含まれます(4M変更とも呼ばれます)。
次の内容を記録して下さい。その記録を保管して下さい。
◆変更の影響について調べた結果
◆それを受けて行った対策の内容と結果
◆変更を承認した人
8.6 製品及びサービスのリリース
あなたは、検査や品質チェックを行って、製品が、規格・基準に合っていることを確かめる。
このような、検査や品質チェックは、適切なタイミングで行わなければいけません。
あらかじめ(8.1で)決めたタイミングや実施方法の通りに行って下さい。
決められた全ての検査や品質チェックを行って、合格するまでは顧客に納品しないで下さい。
ただし、特別な事情があって、責任者(あらかじめ決めておくこと)が許可した場合は、
検査が終わっていなくても納品できます。
ただし、顧客にその検査の実施を約束をしている場合には、顧客の許可も必要です。
会社は、検査、品質チェック、出荷承認の結果を記録して下さい。その記録を保管して下さい。
これには、以下の内容を必ず入れて下さい
a)合格したことを示す記録。その際に使った、合否判定基準が分かるようにする。
b)出荷承認をした人を記録する。あるいは、だれが承認したかが分かる(たどっていける)ようにする。
8.7 不適合なアウトプットの管理
8.7.1 不良品の管理の方法
当社は、不良品が誤って納品されたり(最終製品)、使用される(材料、部品、中間製品)ことがないように、管理する。そのために、不良品に目印を付けるか、あるいは良品とは離れた場所に保管し、管理下におく。
当社は、不良品を正しく処理する。
既に納品されて、顧客の手元に渡っている不良品についても、適切な処理をして下さい。
このような、不良品の処理の方法は、不良の内容や、それが与える影響の大きさ(重大さ)に合わせて決めて下さい。
不良品の対応には、次のような方法があります。この中に、当てはまるものがあるならば、
確実に行って下さい(1回の不良品の発生に対して、2つ以上の方法を行うこともあります)。
a)何らかの手を加えて合格品にする。(組み直し、不良部品の交換、再加工、前の工程に戻す、不合格ロットの全数選別など)
下級の製品とする。
b)不良品を、良品と引き離して保管する。
保管されている不良品(自社倉庫、販売店、顧客)の出荷や使用を止める。
不良品を、倉庫や顧客から回収する。
実施中のサービスを中止する。
c)顧客に連絡する。
●納品した製品が不良だったことを連絡する。
●マスコミなどを通じて公表する。
●(受注生産の場合などに)納品予定の製品が不良になったことを連絡する。
d)特別に許可をして、不良品のまま納品する(最終製品)。または使用する(材料、部品部品など)。
これらは、あらかじめ決めていた手続きに従って許可しなければいけません。
最終製品の場合や、最終製品の品質に影響する場合は、顧客の許可も必要です。
a)の手直しを行ったときは、合格品になったかどうか確かめるために、改めて検査を行う。
8.7.2 不良品/サービス失敗の記録
当社は、不良品を処理した結果を記録して、保管する。記録には、次の内容を記載する。
a)不良品の品名、数量、状態
b)不良品をどのように処理したか
c)特別採用を行った場合は、その内容(誰が何を承認したか)
d)不良品の処置方法を承認した人の名前