日本人の胃がん罹患数は部位別で2位と高くなっている。
胃がんの原因の1つとしてピロリ菌が取り上げられることが多い。
この記事では、ピロリ菌感染と胃がんとの関係性、対処方法を紹介します。
ピロリ菌は胃がんの最大原因となりうる
胃がんはピロリ菌の慢性感染(=慢性胃炎)によって発症すると考えられている。
ピロリ菌とは?
ピロリ菌は胃粘膜にすみつく細菌です。
胃粘膜は胃酸(酸性)で覆われているため、通常の菌は生息できない。
ウレアーゼという酵素を作る力があり、尿素を分解してアンモニアを生成する。
アンモニア(アルカリ性)で酸性を弱め、胃の中に存在している。
ピロリ菌の脅威とは
ピロリ菌が胃に常在していたとしても、何らかの疾患を発症するのは保菌者の約3割程度。
ピロリ菌はゆっくりと胃に炎症を起こし慢性胃炎になる。
感染が長い時間をかけて持続すると自覚症状のないまま胃全体に炎症が広がります。
胃粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少する。
胃の粘膜がうすくやせて萎縮が進行すると胃がんを引き起こしやすい状態になる。
ピロリ菌と胃がんの関係
ピロリ菌感染有無による胃がん発症率について説明する。
ピロリ菌を持つ全員に胃がんが発生するわけではない。
ピロリ菌の感染者は胃がんのリスクが約5倍に高まることが分かっている。
ピロリ菌に感染していると胃がんのリスクが高くなるのです。
胃がん予防のためのピロリ菌検査
ピロリ菌の検査は、大きくわけて内視鏡を使う方法と使わない方法があります。
胃がんを予防するためには、発症に深く関わるピロリ菌の検査がおすすめです。大きくわけて内視鏡を使う方法と使わない方法があります。
ピロリ菌の検査方法
尿素呼気試験
検査試薬を飲み、呼気を集めて炭酸ガスを測定し、ウレアーゼ活性を測定し菌の有無を診断する。
抗体測定
血液中や尿中などに存在するピロリ菌の抗体を測定する。
便中抗原測定
糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる・
内視鏡検査
内視鏡で胃粘膜を観察し、発赤や白色粘液の付着、ひだの肥厚という所見があるか調べる。
培養法
内視鏡で胃粘膜を採取し、それをピロリ菌の発育環境下で培養し、菌の有無を診断する。
ウレアーゼ試験
内視鏡で胃粘膜を採取し、ピロリ菌のもつウレアーゼ活性を測定し、菌の有無を診断する。
組織鏡検法
内視鏡で胃粘膜を採取し、組織標本に特殊な染色をして顕微鏡でピロリ菌の有無を診断する
ピロリ菌の除菌
ピロリ菌に感染していることが分かった場合は、除菌することが推奨されている。
慢性胃炎の対象者に除菌治療をすると、萎縮が進行しないことが明らかになっている。
除菌することで胃がんの発生率を1/3に抑制できたこともわかっている。
ピロリ菌の除菌は胃がんリスク軽減に効果がある。
除菌方法には、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を用いる除菌療法がある。
この方法の除菌率は約80%~90%といわれている。
副作用も報告されているので、不安な点があれば医師に相談する。
まとめ
ピロリ菌チェックで胃がんリスクを確認しよう
ピロリ菌は幼少期の衛生環境(特に上下水道環境)と密接に関連していると言われていますが、
衛生面で生活環境が豊かになりピロリ菌の感染率は低下しています。
長期的に見ると日本から胃がんの発症は減ると予想されます。
気付かないうちにピロリ菌に感染していて、胃がんを発症する恐れがある人が現在も多数いることが問題です。
ピロリ菌感染を検査して胃がん予防へとつなげていこう。